2000カ所ある活断層と減災に向けた断層ゾーン法

立川断層帯の活断層位置(政府地震調査委員会HPより)
断層ゾーン法とは、活断層ゾーン内に各種制限を設けている1971年に制定された米国のカリフォルニア州法のことです。1971年に発生したサンフェルナンド地震で活断層付近で多くの住宅が被害を受けたことを教訓に活断層法は制定されました。
この断層ゾーン法で規定されている主な項目としては、原則活断層から15メートル以内の範囲には新築禁止、400メートル以内を活断層ゾーンとして周知すること、活断層ゾーン内に存在している既存の居住用建物が売買される場合には、告知義務として売主から買主へ売買物件が活断層ゾーン内に立地していることを告知すること等が定められています。
日本にも、断層ゾーン法の様な法律はあってしかるべきだと思いますが、ことさら震災への不安感をあおることや活断層付近の住宅を持つ人への資産価値への影響、活断層調査の実態とその評価レベルなど様々な課題もあります。
ちなみにこの断層ゾーン法という法律が制定されることになった活断層とは、100万年~200万年前以降に地殻運動を繰り返した断層で、現在から将来も活動すると考えられている断層のことだそうです。
活断層は、地震の震源となりうるものといわれ、日本には約2000の活断層が存在し、代表的なものは阪神大震災(兵庫県南部地震)が活断層が引き起こした内陸直下型地震です。
最近、房総半島南端から南東に100数十キロ以上離れた太平洋の海底で、未知の活断層が2つも見つかりました。平行してほぼ南北に走る2断層が存在し、東側が長さ300キロ以上、西側が少なくとも160キロと長く断層ゾーンがあり、この断層全体が同時に動けば、いずれもM8~9レベルの大地震を引き起こすという調査結果がでているそうです。
なぜいまこれだけの巨大活断層が発見されたのか不思議ですが、海底の深さデータは最近まとまり、コンピューターによって起伏を3次元的に見られるようになったためだそうで、ここでもスーパーコンピュータが活躍しています。
さて、我が国における活断層法についてですが、まず国民が活断層についての理解を十分することが大切です。そして、その影響範囲や影響度合についても意識しておかなければなりません。しかし資産価値や資産評価の低下についての影響については、議論が分かれるところですが、震災対策を強く意識することは大切ではないかと思います。
また2000か所ある活断層の内、大きな被害が予想される110の活断層を重点的に調査をしている様ですが、発生する可能性が高い地震の場所と規模、いつ発生するかの予測は困難です。そして発生確率を数字で示すこと等の不確実性や、活断層から遠い場所は逆に安全だと理解されることへの誤解など、調査結果が一人歩きするという危険性もあります。
いずれにせよ、地震国日本の減災について、断層ゾーン法制定を含め、議論を深めて頂きたいと強く要望いたします。
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地方自治体の採用試験、人物重視に!

(北海道庁)
北海道庁は、2013年度からの職員採用試験を抜本的に見直すとの記事が目に入った。
これには民間志望者も受けやすくして、多様な人材が確保できるメリットがある。採用にあたり、筆記試験の負担軽減と「人物重視」の選考を強く打ち出すらしい。
現行の試験制度では、法律科目など専門試験対策のため予備校通学が一般化してきており、受験者層の固定化や人材の偏りが指摘されているそうだ。
道庁は、まず序列的なイメージを無くすため、「上級」と「中級」「初級」の枠組みを廃止。代わりに大卒レベル、高卒レベル、民間経験者対象の区分に再編する。
1次試験で従来の教養試験を民間企業の試験内容に近い「職務基礎力試験」に変更し、個別面接と集団討論を合わせて計4回実施、人物試験を重視し合せて受験者の協調性などを見るグループワークを行うとのこと。
行政職員の採用試験を人物重視に切り替えることは、画期的なことである。私は多様な人材を確保するには、従来型の採用方法と人物重視採用の両建てで採用するのが良いと考える。
職務基礎力試験で、高得点から採用するならこれまでとあまり変わらないかもしれないが、これもよし。そして各階層から人物優先で幅広い層から採用ができれば、職員の活性化にはつながる。
この採用方法を嫌がる人がいるか、喜ぶ人がいるかわからないが、今度は採用する側の力量が問われるのは間違いない。
(記事は時事通信/官庁速報より)
がんワクチンの早期開発に期待する!

免疫機能を活かした「がん治療ワクチン」が今脚光を浴びている。抗がん剤のような副作用も少なく、低コストであると言う。
国内大手製薬会社が治をしており、安全性や効果の検証を経て世の中に出てくるのだが、本当に待ち遠しい。
膵臓がん治療の治験段階にあるがん治療ワクチンは、膵臓がんの細胞で発生する特殊なタンパク室に似た物質などを成分として、免疫機能を活性化させてがん細胞を攻撃して増殖を抑える仕組みだそうだ。
5年以内に発売できる予定だそうだが、待ちわびている患者は本当に多くおられると思う。
製薬会社は、合従連衡、海外企業提携、企業統合など厳しい環境が続いているが、この分野の日本の技術が高く評価されている様なので、世界に勝てる創薬ノウハウを蓄積し、スーパーコンピュータを駆使して、創薬分野で世界をリードしてほしい。
この分野には相当部分、国の関与が必須であるはずだ。
3.11を考える

今日は、ちょうどあの東日本大震災からちょうど1年である。未だに復興がなされておらず、福島原発問題も尾を引いている。
さて被災地への応援を目的に、昨年7月4日と5日にかけて被災地支援に伺った。
宮古市、田老地区、陸中海岸、山田町、大槌町、釜石市などに伺い、現地の議員や現地の被災された人の話を伺い、震災被害状況をこの目で見て、復興に対する思いや期待など考えさせられることが多かったことを思い出す。
ちょうど被害から一年、支援や視察の写真をまとめて頂いていたので、あらためて見てみたが、やはりあの被災地の現実がよみがえってきてしまった。テレビでも特集が組まれていたが、写真集はその地に伺った時の生の空気が伝わってくる。釜石駅で、東日本大震災の写真など掲載されている本も買ってきたので、その本もあらためて読んでみたが、本当に辛い思いになった。
でもこの震災について、絶対に風化させてはいけない。あらためて地域の絆の大切さ、自助と共助の大切さをあらためて考えさせられる日でもあった。
遅れる被災地の復興にモノ申す!

東日本大震災の復興については、復興庁も発足し、関連の補正予算はすべて成立、復興交付金や特区の制度も整っているにも関わらず、肝心の予算の執行は進んでいない。また制度の活用も不十分とのことで、被災地の復興は依然遅れていると思っている人は約7割となっているそうだ。
被災自治体からは「自由に使える予算を要望していたのに、政府の査定が厳しく通常のひも付き補助金と変わらない」といった不満が相次いでいるという。
被災地復興は、緊急的な対応が必要とのことで補正予算などスピード審議をしてきたはずである。しかし交付金の申請段階でも時間と労力がかかり、査定段階でも緊急性が低いとなどの判定で地域の希望が反映されていないという。
とにかく、被災者は一日も早い復旧・復興を望んでいる。政府には、もっと被災者や自治体の立場に立った対応が今最も求められるはずである。「復興庁」が「査定庁」になっているとすれば、意味がない。
従来制度の延長線ではなく、復興特区制度を新たに創設しているのだから、復興に対しては特段なる手続きで臨むべきと考える。今の手続きの煩雑さでは、被災地の自治体職員が疲弊してしまう。
本当の意味での「復興のための復興庁」となるよう、もっと平野達男復興庁長官がもっとリーダーシップを取るべきではないだろうか!
世界希少・難治性疾患の日(RDD2012)

世界希少・難治性疾患の日(RDD2012)」が、2月29日(水)に丸の内OAZO ○○広場(おおひろば)で開催されました。
世界希少・難治性疾患の日(RDD:Rare Disease Day)は、より良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指して、スウェーデンで2008年から始まった活動です。これを受けて、日本での第一回目のイベントとしてRDD 2010を2010年2月28日に東京ミッドタウンホールBにて開催後、2011年には第二回目としてRDD2011を丸の内OAZO OO広場(おおひろば)にて開催し、約700人超のご来場をいただくことができました。一方、RDD2011は患者会の主催で三重・京都などでも実施され、患者を主体とした広がりへの第一歩とすることができました。
今回のRDD2012はこれまでの2回のRDDを受け、「つながる⇒ひろがる」をコンセプトとし、単なる東京でのRDD2012イベントとしてだけでなく、日本各地で開催される患者会主催のRDD2012のハブとして日本と世界に発信していく場とすることを考えております。
(厚生労働省HPより・「世界希少・難治性疾患の日(RDD2012)」の開催について)
今回のRDD2012は、「つながる⇒ひろがる」をコンセプトとしており、東京でのイベントとしてだけでなく、日本各地で開催される患者会主催のRDD2012のハブとして日本と世界に発信していく場としているそうです。
希少・難治性疾患の種類は極めて多く、6000~8000種類も存在すると言われているそうです。世界中で極めて多くの方々がこの希少・難治性疾患と言われる病で苦しんでおられます。
しかし、患者数が極めて少ないことや病気の原因がなかなか解明されないため、治療方法の開発が進んでおらず、大きな社会問題になっているということです。
やはり、社会におけるこれらの疾患への認知度向上を図る機会をできるだけ増やし理解を求めていく必要があります。
ネット上の違法行為は更に罰則強化が必要、但し行き過ぎにはNG

(画像は、警視庁フィッシング110番)
インターネットバンキングなどで使われる他人のIDやパスワードの取得、保管などの禁止を盛り込んだ、不正アクセス禁止法改正案が、閣議決定されたようだ。政府は、今通常国会での成立を目指していると言う。
改正は、他人になりすまして銀行取引や商品売買などのシステムに不正アクセスすることによる被害の未然防止が目的で、実在する銀行のサイトなどを装ってIDなどの入力を求める「フィッシング」のような準備段階の行為も罪に問う内容となっている。
当初案では、うそをつくなど「不正な手段」による取得のみを規制対象にしていたが、IDなどがインターネット上に流出し、誰でも取得できるケースもあることから、提出法案では、不正アクセス目的であれば、いかなる方法でも取得を規制。また、フィッシングについても、サイトを開設し誘導することを違法としていたのを、開設だけで罪に問えるよう修正した。
(朝日新聞・2012.2.21)
現行法ではIDなどを不正取得する行為そのものは、処罰対象とはなっていない。改正案の様にサイバー攻撃など悪意をもっての行為は規制強化すべきと考えるが、一方で容易にネット環境を使える仕組みというところまで規制が入るのは問題があると感じている。健全なネット環境やネットビジネスに必要以上に規制をかけすぎるのは、ネットビジネスにブレーキをかけることにつながるのではという話。
「明日の安心」対話集会 ~社会保障と税の一体化を考える~

子育て、介護、医療、年金、消費税、……どれも身近な心配事。
そこで政府は、これらのテーマを大臣と話し合う「明日の安心」対話集会を、全国で開催します。
岡田副総理をはじめ担当各大臣などが、皆さんのもとへ直接お訪ねし、「社会保障と税の一体改革」について、丁寧にご説明し、率直なご意見を伺います。
少子高齢化や貧困・格差の拡大などの課題に直面している、日本の社会保障制度。
皆が安心して生活できる社会をどうやって確かなものにしてゆくか、ぜひ一緒に考えていきましょう。
スケジュールを確認のうえ、応募フォームのページからご応募ください。
―「今日の心配」を「明日の安心」に変えるために。
(内閣官房ホームページより)
対話集会と言うと、やらせの集会を思い出す。さて「明日の安心」となるのやら。
18日に第1回を開く全国4会場のうち3会場で定員が15人に設定されてるそうな。15人で広報の効果があるのかと言いたくなる。
この定員15人の会場は富山市(参加閣僚・川端達夫総務相)、滋賀県長浜市(安住淳財務相)、長崎市(小宮山洋子厚生労働相)であるが、3会場の応募者は、周知期間が少なかったこともあり富山市8人、長浜市28人、長崎市20人。国民の関心もこんなものなのか。
「今日の心配」は、「今日も心配」・「明日の安心」は「明日は安心か?」
つまり「今日も心配!明日は安心か?」とならない様に!
国会議員などの定数削減と財政効果

国会議員の定数削減や1票の格差が話題になっている。そして各党とも前回の選挙公約で大胆な公約を掲げた。
今回の選挙制度改革には、衆参両議院の1票の格差是正、消費税増税を念頭に国家議員の大幅定数削減で身を切る態度を示すというのがある。
そこで、議員が減ればどれだけ財政赤字の改善・貢献ができるのだろうか。
国から国会議員1人に支給される歳費や経費が約4000万円、公設秘書給与を加え、議員85名削減で、50億円程度とされています。また政党交付金の見直しも検討されている様です。
しかし、社会保障費の毎年の年間アップ額で、約1兆円増となっているので、この費用でいけば、わずか0.5%と極めて小額である。つまり、財政上の効果ではなく、国民と痛みを分かち合う・共有するという政治的意味合いでの議員定数削減である。
国会議員の定数を国民全体の割合で考えると、17万人に1人という割合です。これが多いか少ないかは議論が分かれるところだが、単純にさいたま市の人口で考えると、7人強となる。この例だと皆さんは多いと感じるのではないだろうか。感覚的ではあるが、半数で良いかもしれない。
しからば、さいたま市内の県議会議員は15名、政令指定市での県議会議員数の見直しも必要だとの意見も多い。さいたま市議会議員は、定数64名から60名となった。これもまだ多いと言う意見が多い。
財政効果の問題と議員定数削減、市民の意見を反映する最低限の議員数、議員定数削減で議員報酬を上げてより多様な人材を確保するという様々な考え方もあり、議論を重ねたい問題である。
これらは各党各会派それぞれの思惑もあり様々な意見があると思うが、人口割や選挙制度、議員の機能など議論するテーマは事欠かない訳であるが、ここは乱暴であるが一律2割カット、県議会議員15名から12名、市議会議員60名から48名というところが、市民感覚であるのかもしれない。
素晴らしい国土交通省の標識BОXが機能していない!

国土交通省各地方整備局には、標識BОX(標識意見箱)というインターネットで意見を言うサイトがある。
この標識BOXは、道路利用者が,安全ですみやかに目的地に行けるための道しるべである道路標識は,見やすくわかりやすいことを目指して設置されている要望提案サイトである。①目標地の表示がおかしい、②標識が壊れていて見にくい、③方向の表示が、実際の道路形状にあっていない、④距離の表示がおかしい、⑤文字が小さく読みづらい、⑥路線番号や現在地の表示がないため、どこを走っているかわからない、などの標識を見つけたら,標識BOXにて連絡すれば検討するという素晴らしい仕組みである。
しかし、この仕組みが不十分で機能していないと言うことが判った。
私が以前、このサイトで申請していたが、検討や結果の連絡もない、検討しているのかどうかもわからない、依頼しても国土交通省各事業所の動きが全く見えないという状況であった。
今後見直しをして頂けると言うことであるが、これでは、偽りの「標識要望BОX」である。
素晴らしい行政のアイディアがシステム(仕組み)や運用で回っていない典型的な例であると思う。私が提案している「さいたま市版・市民の声データベース」もこれから検討することになるが、入口だけでなく、バック側の仕組みや実施に至るまでの仕組みをしっかり作ってほしい。今の国土交通省の標識BОXのようにならないようお願いしたい。
車に頼らない都市づくり

(画像は、国土交通省のエコ・コンパクトシティ)
国土交通省は、都市をコンパクト化して環境に配慮した街づくりを自治体に促す新法を通常国会に提出する。
病院や学校、商業施設などの都市機能を中心部に集約し、車に頼らない都市にすることで温室効果ガスの排出を抑える狙いだ。
新法は「低炭素まちづくり促進法案」で、2012年度中の施行を目指す。新法で対象地域になると、省エネルギー基準を満たした住宅やビルの住宅ローン減税を拡大したり、事業費を補助したりするなどの優遇措置を設ける。震災復興を進める被災地や、人口の空洞化に悩む地方都市の活用を見込んでいる。
対象地域に指定されるためには、自治体が、都市機能の集約化や建物の省エネ化などを盛り込んだ「低炭素まちづくり計画」を作成する。計画に沿って企業が省エネビルなどを建設すれば、国と地方で事業費の最大3分の2を補助する。大型商業施設に課している駐車場の設置義務も緩和し、複数の施設で共同駐車場を設けることも認める。(参考:読売新聞/2012年1月30日)
コンパクトシティ化は、今後検討すべき街づくりの重要な課題である。まちづくりの見直しでのコンパクト化が中心で、駅からはじまる街づくりや公共施設の集約による効率化などがメインとなっている。
公共交通の鉄道が中心であるが、「車に頼らない都市」という表現は、これまであまりなかったのではないだろうか、コンパクトシティ化=車に頼らない都市ではない。車に頼らないということは、自転車や歩道などの整備、公共バスなどの整備も同時に進めていく必要がある。駐輪場や自転車専用道路の整備、公共施設の集約と人と自転車・バスなどを含めた街づくりを促す法律も是非欲しいものだ。
家族の時間づくりプロジェクト!

「家族の時間づくりプロジェクト」という観光庁の支援プログラムがある。
このプロジェクトは、各地域の協力のもと、大人(企業)と子ども(学校)の休みのマッチングを行い、地域ぐるみの家族の時間を創出することを目的としている。
このプログラムにより、①地域行事等の活性化、②地域資源を改めて見直し地域への誇りの醸成、③活力のあるまちづくりを目指すという。
家族にとっても、連続した休暇を作ることで、普段できない体験を家族で一緒に体験可能となり、家族で話す時間や機会の増加、家族の思い出や絆づくりをつくることができるとしている。
平成22年・23年に全国20数か所で実験されて、それぞれの地域で地域や企業を巻き込んで効果をあげているという。
さて、埼玉県では、毎年11月14日を埼玉県民の日として設定され、公立学校を休日にし様々なイベントが実施されている。また東京ディズニーランドに行くと言う人も多い。
国民の休日ではないが、県が設定した休日である。国民の休日には、いわゆる振替休日があるが、県民の日には、振替休日を設定していない。先ず、振替休日の設定を検討できないのものだろうか。
そして、この「家族の時間づくりプロジェクト」にて、連休の設定ができないだろうか。
東京ディズニーランドに行くこともよいが、連休を設定することで、地域を発掘する日として現在実施している官民が協力した経済振興、観光ビジネスへの発想ができれば、地域振興の効果が出るのではないだろうか。
野田総理の言う「隗より始めよ」の意味は?

(画像は、官邸かわら版)
「隗より始めよ」という故事の意味は、「遠大な事をするには、まず手近かなことから始めるのがよいということ」また「事を始めるには、言い出した本人から始めよ」の意にも用いる言葉ですが、原義を解いてみると面白い解釈ができる。
いつも、メールマガジンを頂いている、 橋本伸様(富士通)のコラム(2012.1.26)に、面白い記事が掲載されたので、全文を掲載したい。
中国の原義なのか日本慣用語なのか、どちらで理解するのかと言うのが面白く、異なる意味となるのも面白い。この記事を読んで、皆様の感想を聞かせて頂ければ幸いです。
コラム 中国の言葉 第8回 ~隗より始めよ~
名馬を欲しいと思っている王様が、一人の人に金貨千枚を預けて名馬を買ってくるようにと命令した。その人は名馬を見つけたが既に死んでいたので金貨500枚で馬の骨を買ってきたというのである。王が怒ると、"金貨500枚で馬の骨を買うなら名馬にはもっとお金を払ってくれるだろうというので皆が名馬を持ってくるでしょう"と返事をしたという。
この話をしたのは、中国の戦国時代、燕の国の大臣であった郭隗(かくかい)である。当時の燕は外国に攻められて危機存亡の時を迎えており、良い人材を集めるにはどうすれば良いかを検討していた、昭王が郭隗に尋ねたとき、郭隗はこの話をしたと伝えられている。郭隗は続けて言った。「従隗始(隗従り始めよ)」、つまり、郭隗は自分にはあまり価値がないかもしれないが、その待遇を良くすれば、より優れた賢者が燕にやってくると進言したのだ。現代日本の野田総理大臣は、議員定数の削減や公務員の給与引き下げについて「隗より始めよ」であると説明したそうだ。日本の辞書ではこの言葉は「言い出したものが着手せよ」という意味だと書かれている。日本人であれば、消費税増税を唱える野田内閣は、国会議員なり国家公務員なりがまず痛みを受ける覚悟を示すべきだという意味に捉えたのだろう。
漢和辞典でみると、「従隗始」の意味として「言い出したものが着手せよ」が書かれているが「国」という字も付いている。これは日本における解釈であるという意味であり、中国人での解釈ではないことを示している。同じ故事成語の解釈が日本と中国で異なることはよくある。有名な例では「呉越同舟」があって、原義では「敵同士でも共通の危機には協力する」であったものが、日本では「中の悪いものが同席している」と解釈されている。
野田首相の「隗より始めよ」を中国人が聞いたらどのように理解するかは興味深いところだ。原義に詳しい人なら、"使い方が逆ではないか"と思うのではないだろうか。「従隗始」が言っていることは「人材を集めたければ良い待遇を準備せよ」なのである。深読みして、"日本は国会議員や公務員に賢者を集めることは放棄した"と考える人もいるだろうし、"公務員のレベルが下がることを国民に通知している"と考える人もいるだろう。このような言葉を海外の人に伝える時には、よく言葉を選ばないと、大きな誤解を招くのではないだろうか。
TPP交渉と国益を守るべき業界

(画像は、日本経済新聞切り抜き記事)
日本の素晴らしい皆保険制度、公的医療保険制度に対しTPP参加交渉の条件にしないとの記事が新聞に掲載された。心配していた日本の医療保健制度をどうやら守ることができたらしい。
逆に他の個別分野については、より厳しくなったと言わざるを得ない。自動車市場の開放や日本郵政への優遇措置見直し、コメなどの農業分野や米国産牛肉の輸入規制緩和などが求められる見込みであると言う。
日本市場の閉鎖性を主張するアメリカ側では、日本独自の規格である軽自動車の廃止や、米国車向けに一定の輸入枠を確保するよう求めると言われているが、日本車の技術の高さやマーケットインの販売体制が、閉鎖性と言われる筋合いはない。しかし自動車産業にも大きく影響する。
日本郵政グループの簡易保険もターゲットになっているが、「かんぽ」の巨大マーケットに大きく保険シェアを変える圧力になるかもしれない。コメなど農産物の関税撤廃については、もっと大きな問題である。
結果的には、業種間の問題になってしまうことに危惧をするが、市場のバランスやマーケットサイズの問題はあるが、国内の業種間格差がないような対応がやはり求められるのではないか。
自殺の根本原因を究明すべき!

(画像は、三省堂「自殺したらあかん!」茂幸雄(しげゆきお)著)
警察庁がまとめた自殺統計の速報値によると、昨年の自殺者は3万513人で前年より1177人減ったが、14年連続で3万人を超えた事実は変わっていない。また、自殺者のうち男性は2万867人、女性は9646人で、男性は14年連続で2万人以上となったとのこと。
実際の自殺者は、3万人を大きく超えているのではないかとの話もあり、やはり深刻な話である。
自殺の理由については、3割ぐらいが経済事情・経済理由と判明していると政府のコメントがあるが、具体的な経済浮揚策も明確になっていない。政府からは、自殺防止対策は「着実に実施していかなければならない重要政策課題」と位置づけ「地域の実情に応じたきめ細かな対策を推進する」考えを示されたが、自殺の根本原因をもっと究明していくことが先ず大切だと思う。
自殺理由の中に、経済事情があるが、最後のセーフティネットである生活保護の重要性もよく議論される。健全なセーフティネットがあることは極めて大切である。現在の社会保障の生活保護制度については、一定のセーフティネットの役割が果たされていると考えるが、根本的に自殺を止めるという事にはならない。
景気が悪い、仕事がない等という問題はここ数年の問題である訳であるから、日本経済の安定や雇用の安定保証など経済的な景気浮揚策の対策を講じ、同時に経済的な理由としての自殺との関係性を明らかにして、自殺の根本原因を究明していくことから解決策を見いだすべきでははないか。
先ずは、自殺統計3万人を絶対に超えないということを誓い、具体的な施策に今年は邁進して欲しい。
高齢者とは何歳からなのか?

(画像は、八潮市HPより転載)
以前、「高齢者というのは何歳?、65歳?・75歳?・88歳?」という記事(2010.9.19)を掲載した。
「さいたまの理」2010.9.19記事 http://inagawah.blog115.fc2.com/blog-entry-619.html
あらためて高齢者について考察してみたい。
日本では65歳以上を高齢者とするという定義が一般的であり、不評だった「前期高齢」「後期高齢」という医療制度では、65~74歳は「前期高齢者」、75歳以上は「後期高齢者」の区別があります。とすれば65歳以上がが高齢者となる訳ですが、これは社会保障などの制度を設計したり、統計データを集めたりする上での便宜的な区分にすぎないということです。
実際には、生物学的に高齢者となる年齢が決まっているというような絶対的なものはなく、誕生日が来て一つ歳をとったからといって、急に体が衰えたり、病気がちになったりする訳ではないことは皆さんご承知の通りです。
以前のでブログでも掲載した様に、OECDでは65歳以上が高齢者とされていますが、WHO(世界保健機関)では、60歳以上を"older people"、そして80歳以上を"the very old"あるいは"the oldest old"と表現している報告書もあるそうで、国際機関の間でも高齢者の定義は様々な様です。
さて、我が国の高齢者の定義ですが、医療制度や社会保障、実年齢や世界的にも高い平均寿命のことを考えると、75歳というのが今の実態に合っているのではないだろうか。以前の国民意識調査では、約半数の方が70歳以上が高齢者と定義している様でしたが、現時点では、やはり75歳になっているのではないでしょうか。
60歳での定年65歳までの定年延長、そして65歳で年金受給をしたとしても、その後の平均寿命を考えると男性では約15年、女性では約20年「第二の人生」が待っているということです。
年金制度だけを考えるのではなく雇用の多様化がある高齢化社会、リタイア後の多様な雇用モデルを新たに作り、誰もが安心して楽しく過ごすことができるような長寿社会を願っています。
そして、医療制度や社会保障、年金の制度設計の問題については超難問というところですが、国民の意識に制度を合わせていくという発想も大切だと思っています。
リタイヤ後の新たな雇用モデルを考えろ!

(画像は「世界の高齢化と雇用政策」(明石書店)、原題は「Live Longer, Work Longer」)
「高年齢者雇用安定法」の改正案が国会に提出される予定です。
昨年の労働政策審議会では「企業に対して、定年後も希望する社員全員を65歳まで再雇用するよう義務付けるべきだ」と提言され、2013年度から実施する方向とのこと。
しかし、企業には様々な雇用形態や人材の問題もあり、一律に65歳までの再雇用を民間企業に義務付けるという制度には課題があるのではと思います。高齢化社会の中、高齢者を雇用し続ける負担を企業に押しつけることは、一方で景気が冷え込む懸念があり、企業の成長に重い負担になることも意識しなければならないはずです。
現行の高年齢者雇用安定法でも、企業に対し65歳までは待遇を変えるなどの方策で再雇用することを求めているが、労使協定である基準を作れば、再雇用する人を選別できる規定になっている。
今回の改正法では、この労使協定条項を削除することで希望者全員に再雇用を義務化するというものだ。これは勢い企業の活力を奪ってしまうとの反発が経済界に強くある訳だが、地方の中小企業ではもっと深刻な問題でもある。
この問題の本質には、年金支給開始年齢の段階的引き上げという制度設計の問題がある。ご承知の通り2013年度に支給開始年齢が65歳となる訳だが、雇用の面では60歳で定年を迎えた人が、その後働けないとなると年金を受け取れる年齢まで空白期間が生じることになる。
60代になれば、当然個人の能力や労働意欲、健康の個人差も大きい。本改正案の一律全員再雇用を義務化すれば、士気の低下や怠業など職場に悪影響が出るのは必至だ。また若者の雇用環境にも大きく影響し、雇用バランスが大きく変わるのではないかと懸念する。やはりここは一律全員再雇用の義務化ではなく、多様な雇用形態を考慮に入れるなど弾力的運用が必要ではないかと思う。
意欲ある人には長く社会で活躍してもらえるよう、雇用を確保していくことは、これからの高齢化社会には極めて大切なことである。現行の企業の雇用形態もある意味では、大きく変えていくことも必要であり、退職後の個人企業化支援やノウハウのある人への企業との個別雇用契約などの退職後の多様な雇用形態が求められていくのではないかと思う。
また有償のボランティア活動やNPО活動、個人の起業化支援へのガイドライン提示や実例紹介など退職後の個人の社会貢献モデルも真剣に考えるべきだと思う。
これからは超高齢化の社会構造となることから、単に年金の空白期間だけを議論するのではなく、それぞれの個人に合ったリタイア後の多様な雇用モデルをもっと議論すべきだと考える。
県と市の二重行政が本当に無くなるのか?

(大阪都構想を訴える橋本徹元知事(現市長)と阻止を訴える平松邦夫前市長)
清水市長は「埼玉県とさいたま市はこれまでも良好な関係を続けてきたが、より協調し連携していくために情報交換をしていきたい」と述べ、二重行政を考える情報交換協議会を設置することになった。
県と市の二重行政の例として、県営住宅と市営住宅、保育所(市)と幼稚園(県)、小中学校運営(市)と教員給与支払い(県)、地域医療計画(市)と病床許可(県)、雨水処理・下水道管理(市)と河川管理(県)などを挙げられているが、私はもっと効率化できる事務事業はあると認識している。
本来政令指定都市には、警察や河川、教育などを除き事務事業は県を通さずとも国と直接執行できる仕組みになっている。しかし何でもかんでも市が関与することが良いとは言えない。広域で実施した方が効率が上がるものもある。また共同で実施した方が良い事業もある。
折角協議会で検討を実施するなら、連携しやすいものだけを検討するのではなく、また事務としてやりたくないものを相手にわたすのではなく、また自分でやりたいものは離さないという狭い考え方ではない、お互い効率化を目指した共通認識の立った検討をしてほしいし、それができるかどうかが問題である。
大阪都構想が話題になっているから、さいたま市でもやった方が良いというレベルであれば、本質を深くえぐれないし本質の協議はできないと思う。
さらに神奈川県では、政令指定都市が横浜市、川崎市、相模原市の3市があり、人口も3市で全体の64%を占める構造になっている。市会議員と県会議員の二重議会・議員の問題もありそうだ。
また、広域の道州制(近隣県との広域行政)を考える協議会も是非埼玉県には考えて欲しい。国の地方分権(地域主権)を待たずとも、地方は地方で知恵を出し効率化を考え、最大の効果をあげる仕組みを自ら考え実行していった方が早く地方分権が進むのではないだろうか。
廃藩置県以来の地方の仕組み改革が今求められているのではないでしょうか。
里山資本主義と経済&エネルギー政策

(画像は、里山・ウイキペディアより)
昨年の東日本大震災そして福島原発事故。グローバルではギリシャの財政破たん。世の中が大きく変わっている。
そんな中、今 先人の知恵でもある「里山の暮らし」でのノウハウが脚光を浴びているという。
「里山資本主義」と言われているが、いわゆる「田舎暮らし」を言っている訳ではない。
里山での先人の知恵そのものが、新たな産業や新たなエネルギーを生むこととと理解すれば、これまでと異なる考え方ではないかと思う。里山でつちかったノウハウが今大きく花を咲かせようとしているのではないかと予感する。
間伐材を利用したバイオエネルギー、森林資源を活用した代替エネルギーなど昔から一定の評価をされていた技術が見直されている。東京電力だけに頼らないエネルギーを今後どう伸ばしていくのかは大きな課題であるが、里山での新たな日本初の世界に負けない産業構造が生まれる政策に大いに期待するところである。
また地域のあまり脚光を浴びていない老舗の技術(新たな発想で飛躍している進取の老舗)、マイスターと言われる機械部品製造など、多くの世界シェアを占めている中堅企業をもっと輝かせることも、今我が国に与えられた重要な取り組みだと思う。様々な大量生産型の技術が中国や台湾、韓国など大きく差をあけられているが、里山資本主義という考え方(広い意味で先人の知恵やノウハウ)で、もう一度、日本の緻密な技術(特に小さな技術だが世界に冠たる技術)と先人の知恵を見直し、新たな基幹産業を興すぐらいの産業振興を国は真剣に考えてもらいたいと思う。
行政刷新大臣と行政改革大臣が併存している?

(画像は、蓮舫前行政刷新相・田中秀敏撮影より引用)
行政刷新大臣は、内閣府の行政刷新会議の運営を通じて行政刷新を行う担当、そして行政改革大臣は、内閣官房で行政の抜本的な見直しを行う担当との説明が政府からあった。
どちらも行政の見直しが担当という訳であるが、違いが解らない。しかも副総理が兼務すると言う。
しからば行政改革として一本化し、徹底した行政刷新を実行する方が良いのでないか。所管する組織の違いとの説明があるが、組織ありきの行政改革ではなく、行政改革を断行する為に、一本化統一化した方が余程求心力が高まり、実行できるのではないだろうか。
異なる組織が、同じ業務を解決するというなら、二重行政、ダブリ行政ではないか。事業仕分けでさんざん二重行政やダブリ行政を指摘をしてきたはずだが、自らの政府組織を二重化しているのであれば、事業仕分けの考え方が何だったのかと言わざるを得ない。
消費税増税などは社会保障との一体改革と言っているが、二重で行政改革するのであれば、徹底した改革にはならないのではないだろうか。
今後のこれらの改革の対応について注視していきたい。
かみ合わない党首討論と課題山積の異常な国政

(画像は、毎日新聞・梅村直承撮影より)
菅首相と、谷垣自民党総裁、山口公明党代表による初めての党首討論が行われた。
社会保障と税の一体改革が中心テーマだったが、双方とも統一地方選を意識し、従来の主張の言い合いに終始した。これでは何度やっても政策論議は深まるまい。建設的な論戦になるよう工夫してもらいたい。
谷垣氏は、民主党の政権公約が破綻しており、消費税導入も前提にしていないと指摘した。6月に消費税を含む一体改革案をまとめた後、9月に公約を見直すというのは手順が逆だと批判した。
山口氏も、政権公約の破綻は国民との契約違反だとして、責任をどうとるのかと追及した。
財源の裏付けを欠く政権公約の破綻は、誰の目にも明らかだ。
だが、首相は「従来の政権が出来なかった政策だ。バラマキではない」と強弁した。こんな姿勢で与野党協議を求めても、自民、公明両党が参加するはずがない。
首相は政権公約の誤りを認め、早期かつ大胆に見直すことを言明すべきだ。
一方、首相は、谷垣氏に対し、社会保障改革の具体案がまとまれば与野党協議に応じるのかとただした。
谷垣氏は、「国民との約束違反を手伝えというのは筋違いだ」と反論して、協議を拒み、衆院解散・総選挙を要求した。だが、自民党には長年、政権を担当してきた政党としての責任がある。首相が「議論もしないで、まず解散では、党利優先だ」と切り返したのはもっともだ。
政府・与党が、財源を明示した改革案を出してくれば、自民党は協議の席につくべきである。
(参考・転載:読売新聞・2011.2.10)
強制起訴された小沢一郎民主党元代表を巡る政治とカネの問題も決着をつける意味では重要だが、将来の国のゆくえを決める重要な予算審議でもあり、十分な審議をしてほしい。
また、財源の問題、地方負担の問題、沖縄普天間問題、マニフェスト(最近は詐欺フェストと揶揄されている)の信頼性、消費税など多くの課題が山積している。
本当に「何も決められない・決めない民主党」という印象が強まるばかりである。
日本国債の格付けが引き下げられる

米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付けを引き下げた。財政懸念が高まるスペインよりもひとつ下というランクは、日本の財政に対する国際的信用の危うさを示すものだ。
格付け会社は世界金融危機に適切な警告を発せられず、批判を浴びた。だが残念ながらこの格下げに異論をはさむ余地は少ない。日本の国と地方の借金総額は国内総生産(GDP)の2倍にのぼり、先進国で最悪。政府は税収より多額の借金に頼らねば、毎年度の予算さえ組めないのだから。
(参考・転載:朝日新聞社説・2011.1.29)
グローバルな金融市場の信認低下で国債発行が難しくなっていくとことも考えられる。また超高齢化で現役世代が減り、貯蓄率の低下や経常黒字の縮小も考えられる。
また、今後国内投資家が日本国債を見限るようになるかもしれない。そうなると国債の巨額発行を続けられる保証は何もない。
そして、菅直人首相が格下げについて聞かれて「そういうことに疎い」と答えたのは本当に情けないかぎりだ。「改革で、財政再建も経済成長も必ず成し遂げます」と力強く言うべき立場の人であるにもかかわらず、グローバル金融市場に疎いではすまされない。
今や、景気回復は待ったなしの状況であることに敏感であって欲しい。
自治体クラウドには、政府の支援が必要である!

ネットワーク上のソフトウエアを共同利用する「クラウドコンピューティング」を地方自治体に普及させる方策を議論する総務省の有識者懇談会では、自治体の初期負担について財政支援を検討する必要があるとの報告書をまとめた。
情報システムの経費を自治体間で分担する「割り勘効果」によってコストを削減でき、住民ニーズの情報共有でサービス向上にもつながると強調されている。
一方で従来のシステムからの移行や自治体間の計画策定に経費がかかるため、国の支援の必要性を指摘した。また、セキュリティーを確保するためインターネットではなく専用のネットワークを構築することや、住民の情報などを保存するデータセンターの設置場所を国内に限定することを提言した。
(参考・転載:共同通信・2011.1.20)
さてこの記事、自治体クラウドだけを議論してきた感があったが、実際の各自治体への適用を考えれば当然のことと思う。独自システムからクラウド以降するには、補助金(誘い水)がなけれは上手くいかない。先進的に取り組んできた自治体では、システムレベルがダウンすることもあり課題も多い。
中小の自治体においては、コスト削減、共通運用(アウトソーシング)など徹底した議論を行い、採用を前提にした取り組みに期待をしている。
「共通番号制度」は、慎重かつ丁寧に!

政府は、国民一人一人に番号を付けて納税や年金情報などを一元管理する「共通番号制度」の実務検討会を開き、今秋の臨時国会にも法案を提出する方針を確認した。
菅政権が不退転の決意でのぞむ社会保障と税の一体改革実現の大前提になる制度だが、個人情報の管理など課題が多い。
これまでも、総論賛成、各論反対で浮上しては消えてきた議論だけに、実現には困難も予想される。
共通番号制度は、徴税面では、所得の把握が正確にできるのが最大のメリットだ。低所得者にも広く税負担が生じる消費税率の引き上げにあたり、高所得者の所得把握と低所得者への手当てをきちんとすることが公平性を確保するために必要で、消費税増税の大前提になる。
ただ、預貯金口座や残高などの金融情報を把握されるほか、さまざまな個人情報が一括して行政機関に管理され、プライバシー侵害の危険性をはらむことから、根強い反対論がある。
(参考・転載:産経ニュース・2011.1.24)
個人情報管理の徹底した仕組みと国民のコンセンサスが極めて重要である。
消費税増税や国民健康保険の値上げ、セキュリティシステムの確保など課題も多いが、スケジュールありきではなく、丁寧な説明としっかりとした制度設計を望むところです。
「土曜授業」復活でも、教師らが反対。

新学習指導要領で小中学校の学習量が増えるのを受け、埼玉県内で土曜授業を復活させる動きがじわりと広がってきた。平日に授業時間を増やすと、放課後の部活動や、学校行事、生徒と教職員の面談に充てる時間が減ってしまいかねないからだ。ただ、教職員組合は「教員の負担増につながる」と反対しており、教職員の理解を得ることが課題の一つになっている。
新学習指導要領は2011年度に小学校で、12年度には中学校で完全実施される。基礎学力の向上に重点が置かれ、授業時間数の増加は小中で年間35~70時間に上る。県教育局の幹部は「文部科学省は週5日制の範囲内で対応できる授業時数だと説明しているが、特に小学生への負担は大きい」と指摘する。
(参考・転載:読売新聞・2011.1.24)
公立小中学校の教職員は、現在完全週5日制を前提に勤務体系が組まれているそうだ。
このため、埼玉県教職員組合(埼教組)は、土曜授業を復活させると「労働基準法が定めた週40時間の法定労働時間を教職員は維持できなくなる」と主張しているとのことだ。
土曜授業をどうしても行うなら、翌週の平日に振り替え休日を取らせるべきだと主張しているとのことです。
さて、新学習指導要綱が小学校では4月から開始されるが、教育立国である日本でも労働基準法が課題となることは理解できるが、教師(人材・要員)を含めた議論がもっとされるべきである。
知的障害者施設で入所待機が急増!

知的障害者施設への入所を希望する県内の待機者が1日現在、878人に達し、調査開始から6年間で5倍以上に膨れ上がっていることが、入所調整などを担う県総合リハビリテーションセンター(上尾市)の調査で分かった。
国はグループホーム整備を重視し、施設の定員削減を求めているが、県はこれまでの削減方針を凍結し、国に支援を要望。本人や家族の高齢化に加え、グループホームでは対処が難しい強度行動障害の増加も背景にあるといい、同センターは「現行の定員枠では限界」と訴えている。
同センターの担当者は「軽度障害者の自立支援は進んでいるが、受け皿が少ない重度障害者を取り巻く環境は切迫している」と指摘。重度障害者の入所期間は30~40年に及び、施設によっては年1~2人の空きが出る程度という。
子どもの将来を心配した高齢の親や、親類が病気になったため支援を求める人ら、高齢化や核家族化の進行も待機人数の増加の背景という。センターは来月から、緊急度の高い希望者を優先的に入所させる新たな方法を独自に導入するが、「現場の努力には限界がある」と訴えている。
国の方針に対し、県内で知的障害者を受け入れている64施設の定員は計3999人で5年前と比べむしろ15人増えた。県障害者自立支援課は今年度、これまでの削減方針を凍結。昨年11月、同省に対し、施設新設に対する補助などを求める要望書を提出した。同省障害福祉課は「待機者数の全国的なデータはない。今後の協議で実態把握にも努めたい」としている。
(参考・転載:読売新聞・2011.1.22)
都市部などでは家族事情や生活様式の変化で、入所施設の必要性が改めて見直されています。福祉サービスは一定の考え方を継承するだけでなく、ニーズを見極める時期にきていると思います。
さて、さいたま市西区宝来に、24時間対応型障がい者支援施設「きずなの里」が5月開設予定で計画が進められています。
全国唯一の新規認可施設だそうですが、家族の方のニーズにも時には応えていく政策も必要です。
脱「ゆとり」教育で学力アップを!

子どもの学力を調べる世界的な調査で、成績が悪くなっていた日本の子どもの学力が、少し上向きになった様です。特に、文章を読みとく「読解力」の成績で、日本が大きく順位を上げた様です。
この調査は、先進国が中心となって世界の経済発展について話しあっている「経済協力開発機構(OECD)」が、義務教育を終えた子どもに行う「国際学習到達度調査(略称)PISA」で、2000年から3年に1度行われ、2009年の今回の調べには、世界の65の国と地域から約47万人が参加、日本では高校1年生の約6000人が参加したそうです。
(参考・転載:読売新聞/2010.12.28)
このPISAのテストは、「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の三つで、文章や表、グラフなどを読みといて、そこからどんなことが言えるかを考える問題が多く出されます。
さて、 日本は2000年の第1回の調査で数学的応用力が1位、科学的応用力で2位、読解力も8位といういう結果でしたが、特に読解力は15位まで落ちました。
今回調査では、読解力が前回の15位から8位と順位を上げ、数学的応用力は10位から9位、科学的応用力も6位から5位と、成績を落とさずにすみました。
小説や新聞をよく読む子どもの方が、読解力が高いこともわかっており、基礎教育に大いに参考にすべきです。
来年度からゆとり教育から大きく舵をきる方針ですが、実はアジア諸国が、日本よりもいい成績だったことが心配です。今回、初めて参加した中国の上海は、全分野ですべて成績が1位、シンガポールや香港も日本よりも良い成績でした。
これから国際競争力も高めなければならないわが国ですが、アジアのなかでも日本がより上位に位置づけられる教育制度についても今後課題となってくると思います。
農協の改革、農業の改革

(画像は、JA鹿児島グループの会合)
政府の行政刷新会議の規制・制度改革分科会は、農林・地域活性化ワーキンググループ(WG)の会合を開き、農協改革案をまとめた。
農協の原点に立ち返り、農家から集荷した農産物の販売、農家への営農指導など「本業」の農業事業を強化し、金融(信用)、保険(共済)事業からの補てん額を段階的に減らすことが柱となっている。
この「農業経営支援機能の強化」の項目では、信用・共済事業から経済事業など農業関係部門への補てん額を段階的に減らすため、中長期的な計画を2011年度中に策定すべきと提起。さらに、経営能力に優れた人材の登用を促すため、11年度中に経営の制度設計を抜本的に見直すべきとしたそうだ。
菅政権が重要課題に掲げる環太平洋連携協定(TPP)を含む貿易自由化と国内農業の再生を両立させるため、大きな影響力を持つ農協の改革が不可欠と判断したと言われている。
国内農業と農協の関係は利害が一致する一方、相反する関係でもある。
しかし、これまで多くの事業を農協を通して進めてきたことも事実である。
WGが当初検討していた「農協からの金融、保険事業の分離」は削除されたが、当面総合事業としての農協で、農業の基盤事業の自立を促していくことを前提にしなければこの改革はうまく進まないと思う。
また農協も、「一人は万人のために、万人は一人のために」という基本理念に立ち返り、協同組合精神で国内農業を守ることに注力してほしいと願っています。
駅のホ-ム転落死に思う

1月16日の夕刻、東京・JR目白駅で全盲の男性がホームから線路に落ち、山手線の電車にひかれて亡くなった。悲劇はまたも繰り返された。
目白駅のホームは1本だけ。武井さんは点字ブロックを頼りにホームを横切ろうとして、転げ落ちた。場所は改札階段からは遠く、ホームの幅は狭くなっている。杖を持った夫婦に気を留める客がさほど多くない日曜の夕刻だったのも、災いしただろう。
障害者、健常者を含めたホームでの人身事故は急増している。にもかかわらず、ホームドアや可動式の柵の設置は進まない。新設駅での設置が義務づけられたが、既存駅には費用や技術面での障壁がある。
JR東日本はようやく山手線への導入を決め、昨年は恵比寿駅と目黒駅で工事をした。だが、全29駅で実現するまで7年もかかる予定だ。もっと前倒しできないか。
駅のホームは急流に渡した一本橋よりも危ない場所に見えるという。欄干を急いでつけなければならない。
(参考・転載:朝日新聞社説・2011・1・19)
「欄干のない一本橋」という表現をみて、ハッとした。本当に障がい者にとっては、そんな思いで駅を利用されていると思うと早急な対応が是非必要と思った。
健常者にとっても子どもや高齢者から見れば、一本橋という風に見えると思う。
技術が発達して自動ドアと連携した駅のシステムも開発されているので、JRだけに任せるのではなく、政府の助成金が考えられないものかと思う。
皆さんのご意見も是非お聞きしたい。
普天間問題は、ちっぽけな問題なのか!

民主党の石井一副代表は17日夜のBS11の番組で、「昨年は後ろ向きな話ばかりだった。尖閣(諸島沖)で漁船がぶつかったとか、やれ政治とカネだとか、やれ(米軍)普天間(飛行場移設問題)だとか。<そんなことは、どちらかと言うとちっぽけなことだ」と述べた。
菅直人首相が意欲を示す税制と社会保障制度の一体改革の重要性を強調する中で出た発言だが、沖縄県民をはじめとして世論の反発を招きそうだ。
(参考・転載:jiji.com/2011.1.17)
さて、この発言、ちっぽけな話というが、ちっぽけな話でない話、つまり重要な話とはいったいどんな話を言うと石井さんは言うのだろうか。
普天間問題は、鳩山首相が起こした問題であり、沖縄県民にとっては極めて重要な問題である。それを「ちっぽけ」というならあまりにも沖縄県民をバカにしているとしか思えない。
日米関係や外交は国益に大きく影響する。しかも国際経済にも大きく影響するわけである。
税制や社会保障ももちろん重要であるが、「尖閣問題」や「政治と金」そして「普天間」をちっぽけということばがでること自体、認識が甘すぎる。
個人レベルの話か民主党全体の話かはたまた政府の話かわからないが、本当に心配である。